このような考えを軸に、鍼治療をすすめています。(現代医学との違い)
診断について
患者さんの話を伺っていると多くの方が「病院では何ともないと言われた」「たいした事ないといわれた」と訴えます。・・・御本人の苦痛は大変強いにもかかわらずです。
「検査に異常がでない以上手の施しようがない,」「一生治らない。」と、アッサリ言われ大変なショックを受ける方も少なくありません。
この様なケ―スでも鍼治療など東洋医学で簡単に治ってしまったという事例は沢山あります。勿論現代医学にしか治せない病気も沢山ありますし東洋医学でも現代医学でも残念ながらどうしようもないケースもあるのですが・・
現代医学はまず検査等で「病気の原因」を徹底的に探ります。病変部位,原因がわかると病名が確定し治療方針が決定されます。合理的で確実なシステムです。
しかしどんなに辛い症状を訴えても、検査で異常が見つからない、また現代医学で異常の範疇にない時は「なんともありません」」「様子を観ましょう」と言われてしまいます。
「こんなに辛いのになんでもないわけがないだろ!」と釈然としないまま一時凌ぎの薬を飲みつづけるしかない方も現実には沢山いらっしゃいます。
鍼治療など東洋医学は「病気の原因」より「病気を引き起こしている今の身体の状態」に着目します。
体質、時々の体調、一番つらい症状(主訴)とそれに関わる全ての症状、・・それらの変化は、顔色、声の調子、皮膚の硬さ、体温、そして脈・・体のありとあらゆるところにも違いがハッキリと現れます。「今の身体」を教えてくれるのです。「今の身体」に最も必要なツボも示唆してくれます。各々の現象を詳細に観察・分類して「その分類にはどの薬草、どのツボを対比させると効果がある」と言う事実の何千年もの集大成が東洋医学なのです、ですから直接の原因がわからなくても治療方針が決定できるし、そこから病因も推測出来るのです。また「効果があった」という事実の集大成ですから効果があるのは当然のはずで,であればこそ時代を超えこの科学全盛の現代ですら多くの人々から支持されているのです。
治療について
東洋医学の治療は「病の原因除去」ではありません。「病を引きを越している身体の改善」です。
個々の身体の状態は様々で,例えば同じ腰痛を訴えていてもその質は全く違っています。おのずから治療も違ってくるのです。勿論,痛い患部の施術も必要ですがそれだけでは効果は限られてくるものです。「腰の治療なのに何で手に鍼をするのですか?」「何で関係のない症状まで根掘り葉掘り聞くのですか.?(腰だけやってほしいのに・・)」「何でしょっちゅう脈をみるのですか?」といった質問を受けるのですが。身体におこる全ての変化を脈診などで把握しながら全身の治療をすすめなければ根本治療にはならないのです。
鍼治療を一言で言えば「気の調整」です。身体には「経絡」という気が流れる通路があり、そこに気が本来のかたちで流れていれば,健康で活力あふれる状態です。しかし,ある通路に気が不足した場合や滞った場合、また有害な気(邪気)がある場合はその通路に関連する場所に障害が現れます。病気をはじめ、身体の異常の殆んどは気の異常をキッカケにおこります。気を正常に調整すれば症状は自然におさまります。(但し、自然治癒力の及ぶ時期に適切な処置をすればです。)
気の調整というと「やはり鍼は非科学的で・・・」と違和感をおぼえる方も多いと思います。「気」とは「目に見えないけど間違いなくあるもの」、「働き」などをいいます。空気、電気、天気、気持ちなど気という文字が入る言葉は皆これにあたります。「空気」「電気」などは目に見えなくとも測定は可能ですし、これらが欠乏すれば影響はすぐ出ますので誰もが疑いなく認識できますし、「気持ち」もどなたにも共通に認識できるものです。しかし我々が調整する「気」の場合は全ての人に共通の認識というわけにはいかないようで、同じ鍼治療師でもこれを否定する人も多くいます。客観的に証明出来ない以上,当然見解が分かれるところです。 少なくとも言えることは5千年以上の歴史を持ち壮大な学理と実績を誇る東洋医学が気の存在を前提として成り立っている事・・そして気のあるなしを論議する事に,さほど意味を見出してないという事です。「気があるからこそ結果が出ている」とし、それを何千何万という実績で証明してきたのが東洋医学なのです
「体を流れる気」は栄養をいきわたらせたり、体を保護したり、温めたり、体を動かしたりといろいろな働きがあります。気が欠乏すると空気が欠乏したと同じで、即座に人体に影響がでます。我々は脈診を始めとする総合的診断法を駆使して、どの経絡の気が欠乏してるか、または有害な気はないか、滞ってないかを診断し、欠乏してれば補充する・・等の然るべき治療をおこないます。 それによって本来の自然治癒力が最大限に発揮され主訴を始めとするあらゆる症状が改善されるのです。
治療の流れ
鍼治療では患者さん一人一人に合わせた治療をおこなう為に、次のような段階をふんで診断・治療を進めてまいります
問診
いわゆる問診ですが、鍼治療の問診は「望診」「聞診」「問診」と3つの観点から患者さんの情報を収集分析します。
切経
手足、背中、患部などの状態を診ます。
※東洋医学では触診を「切診」と言っています。「切」とは「おさえる」という意味で、切って診断するという意味ではありません。
腹診
内臓の状態は勿論ですが、お腹は全身の病状が最も顕著に表れる場所です。
脈診
鍼治療で最も重要な診断法です、ただ脈拍を診るだけではありません
脈の強さ、速さ、位置、形などを細かく診て、病状、程度、種類、そしてどのツボをもちいて治療をおこなうか最終診断をします。
また鍼治療が適切に作用しているかを確認するために脈を診ます、ですから治療中は何度も検脈いたします。
治療
治療は大きく分けて「本治法」と「標治法」とがあり、それぞれ目的が違います。どちらも治療には欠かせません。
本治法
鍼治療の真価が最も顕著に発揮されるのが、この本治法です。
手足のツボで気の調整をおこないます。自然治癒力を最も自然に発揮できるよう調整します。どの患者さんにもまず最初に本治法を施します。
標治法
病んでる部位、痛む部位に、直接症状緩和を目的に施す治療です。